92才だった。
その日、おじいさんは、いつものように近所の
銭湯に行き、自宅の一階にある
お店(小さな食堂)で暫く休んだあと
二階の寝室に引き上げた。
いつもの通りだ。
ただ少し違ったのは、おばあさんが
暫くした後寝室に入ってきた時
いつもの「遅かったね」という声がかからなかったくらい。
朝、起こすとすでに事切れていた。
自分で体を洗い、まさに眠るように
逝った。
病むこともなく。
苦しむこともなく。
まさに大往生というに相応しい
最後だった。
私も、
できれば
そういう風に
人生を終わることが
できたなら。