息子が志望の大学に無事合格した。
模試やセンター試験の結果から
ギリギリのボーダーラインだったのだが
本人の努力や運や、諸々の結果だろう。
親として、これほど嬉しいことはない。
良かったと心から想う。
話しはいきなり、27年前に遡る。
高校を卒業した私は、新聞奨学生として
故郷から大阪に出ることになった。
合格していた大学もあり、入学金まで
払い込んでいたのだが、当時父が経営
していた事業が思わしくなく、多額の
借金を抱え、子どもに大学を行かせるどころではなくなった。
就職したら、と両親から勧められた時も
あったのだが、どうしても大学に行きたい夢があった私は、新聞配達をして
奨学金を得てそれで予備校の学費と大学の入学金に充てる道を選んだ。
両親は賛成してくれた。
ただ内心忸怩たる想いがあったのだろう。特に父は自分の不甲斐なさから
息子に苦労をかけることに対して
自分を責めたことだろう。
それから何年かして、
実家に帰省して酒を飲んだ時に
「あの時は情けなかった」とよく言っていた。
私も相槌を打って聞いていたのだか、
まあ、そんなものかなと思っていた。
よく分からなかったのだろう。
息子が大学に合格して
本当に嬉しそうな顔をしているのを
見た時、私は初めて当時の父の想いを
突然理解し、感じることができた。
子どもの夢の手助けをするの親の勤め
であるのに、それができない辛さ、歯がゆさ。そして悲しさ。父の苦悩。
それを感じることができた。
一人酒を飲んで泣いた。
自分の息子の成長の嬉しさ。
そして息子として、当時の私に対する
父の想いがわかり、今さらながら嬉しかった。
父は3年前から認知症を患い
すでに私のことも誰か理解できなく
なっている。
もう遅い。
でも、言いたい。
お父さん。
大学入る時は色々心配かけたけど
何とか、かんとかやってきた。
今年、あなたの孫が大学に入るよ。
上手く言えないけど、ありがとう。
時を遡ることができたら。
今、本当にそう思う。