アントニオ猪木さんが亡くなられた。
小学生の頃、金曜日夜8時からの
新日本プロレスの中継をかぶりつきで
見ていた当時の私にとって、猪木さんは
まさにヒーローだった。
特に思い出に残っているのはタイガージェットシンとの戦い。例の腕折りの一戦は
今は亡き父と一緒に「猪木、やってまえー!」と叫びながら大興奮で見ていた。
で翌日学校で友達と「コブラツイスト」の
掛け合いをして、女子に呆れられ、先生に怒られるのだ。
その後成長するにつれてプロレスへの
興味も薄れて今にいたるが
折に触れて報じられるその姿から、いつまでもエネルギッシュな方だなあという印象を持っていた。スキャンダルも、参議院議員も「元気ですかー!」の掛け声で乗り切って来られた。
そういう印象を持っていた。
しかしここ何年かは難病を患われて、入退院を繰り返えされていた。
それでもYoutubeで動画を配信され
「元気ですかー!」とメッセージを出し続けて来られた。そのお姿は元気な頃とはかけはなれ
やつれ、これが猪木さんかと思えるほどの衰えようだった。観るのは忍びないものがあった。かつてのスターの方で老いさらばえた姿を一切見せない方もいる、それでいいのにと思うこともあった。
しかしその姿から観る人に何かを伝えたいという「熱」を感じた。「闘魂」は衰えていなかった。
今、思う。
猪木さんは、猪木さんを生ききったのだと。
就職して間がない頃、大阪の道頓堀で当時選挙活動中の猪木さんがいた。すかさず駆け寄り握手してもらった。その手は大きく
節くれていたが、意外なほど柔らかな掌の感触だった。今となってはこれも貴重な経験だった。
幼い頃からよく知っていた方が次々と鬼籍に入られていく。寂しい限りだ。
アントニオ猪木さんのご冥福をお祈りします。